
途中、思わぬ中断なんかもあり、覗きにきてくれている皆さんにご心配をおかけしつつも、過去最長のシリーズとなってしまった'90s SWEDEN MELODIC特集なのですが、なんとか一段落つけることができました。
本当は、勢いに任せて、BLENDERや、INTENSITYとか、果てはMOGEL、DIA PSALMA、STREBERSとかのエグいところまでと、地の果てまでもスウェーデンと心中してもよかったのですが、そろそろ色々と新しいモノが聴きたくなったりだとか、また、なにせ昔のスウェーデンのバンドの資料を集めるのはホネで、SWEDENのwikiは見づらかったり、あちこちで発売年の記述が違っていたりして、そのつどCDほじくり出して確認していると、片っ端から聴いてしまったりだとか、画像探すの面倒くせぇので、スキャンしたりしているとその方がよっぽど面倒くさかったりで、本当に必要以上に手間と時間がかかってしまい、少し集中力も切れそうな感じなので...また、ほじくり出した7inchのデジタル化に着手しようだとかの大それた考えも起こってきたので、この辺で一区切り付けようかという感じです。
とは言いつつも、中断以降は、仕事とコレで、なんか頭を真っ白にしたかったりだとか、遅れた分を取り戻す、倍返し的な、変なモチベーションも手伝って、毎日更新を繰り返していたわけですが、時たま、金にもならんのに、何でこんなこと必死にやってんだろうなとの考えが頭をもたげつつも、お休みの間も見にきてくださってた方のご期待に応えたいってのもあるのですが、やっぱ自己満足というのが非常に大きいですよね。
また、40過ぎのオッサンの私が、これから過ごす10年は、その残された時間を考えると、20代の方が過ごす10年とは、本当に意味合いが大きく違うというコトを、最近の時が経つ超高速具合に身につまされたりして、そう思うと、自ずと忙しなく急いで動くことになってしまいます。
しかし、本当に'90年代のスウェーデンのバンドときたら、超本格派から、味と旨味の本格派まで、何年たっても色々と楽しませてくれます。とてもツっ込まずにはいられないところや、蹴躓きそうなその勢いも、なんだか笑って許せてしまう、まさに画像の「だが、それがいい」ってのが、'90s SWEDISH PUNKには非常にしっくりくる言葉です。
その高速度、その哀愁、その粘り気、その湿り気、その能天気さ、そのバカさ加減、そのポンコツっぷり、そのB級具合。決して世の中の全ての人が求めるものではないのかもしれませんが、それを激しく求めている人もいます。全く必要無いモノかもしれませんが、それがなければ生きていけない人がいるかもしれません。事、音楽に限らず、全ての価値観に於いて、不要にして必要不可欠なモノは存在すると思います。
その価値観を根底から覆し、駄目を良しとする魔法の言葉、「だが、それがいい」。皆さんもにっこり笑って言ってやりましょう。

かなりの長期にわたりSWEDENのバンドについて書いてきましたが、やはり'90年代のSWEDENのバンドというのは、独特の味や旨味といったものを兼ね備えているバンドが多く、そこには独特の疾走感といったものを携えていて、なんとなくそれが懐かしい感じすらするのですが、そういった懐かしさや、個性的な疾走感とは別の次元で、数歩進んだ形で、近代的メタリック感や、近代的高速感の礎を築き上げ、成長したバンドが、このSATANIC SURFERSなのだなぁと改めて認識させられました。それ故に今の幅広い支持と評価があり、SATANIC SURFERSと概ね同様の進化や方向性の転換といったものを見せ、彼らの成長の速度と同じ歩幅で成長していったADHESIVEや、VENEREAといったバンドが、やはり同様の支持と評価を得ているというのも、全く持って納得の極みであります。流行の音とはいえ、若い方の耳はちゃんとしてるのだなぁと本当に感心します。
"Hero Of Our Time"で完成に近い将来性と音楽性を見据え、TEN FOOT POLEとのsplitで、本家ともいえるアメリカのバンドとも、そのカッコいい楽曲で充分に渡り合えることを証明して見せ、まさに助走の体勢は整い、脂の乗り切った形で、ガソリンも満タンにブチ飛ばすだけといった、爆音と爆走の、重高速一辺倒の新展開、そして、今後の彼らの音楽性や方向性の指針であるとともに、ある意味の分岐点が'97年リリース、この"666 Motor Inn"なのかもしれません。
もう、一曲目からして、バキバキのビジー・ベースから高速シフト・チェンジと、なにせパンク臭を撒き散らしています。このアルバムではかろうじて残っている部分もあるとは思いますが、前作までの乾いた明るさのような部分はオミットされていき、重高速にしてワイルド、ダークにしてラウドといった、以降のストロングな近代高速感が、この作品以降、前面に押し出されていきます。しかし、高速ストロング・スタイルにして、かなりの聴きやすさというものを持っているのが、本当に不思議な感覚ではあります。私はこのバンドが取り立てて美しいメロディーを作れるバンドだとは思っていないのですが、その楽曲全てにメロディアスさは激しく感じてしまいます。そういったトータル的なイメージとしての、ストロング・タイプのメロディック・ハードコア然とした部分が、幅広い層を取り込んだ、現代の支持や評価に繋がっているのであると理解しています。私見ですが、このアルバムにしてもそうなのですが、取り立てて、この曲がどう、あの曲がこう、といった感想はいつ聴いても無いのですが、作品としてのカッコよさ、そして、SATANIC SURFERSというバンドのカッコよさ、そういった漠然とした「カッコよさ」というものは常に感じてしまいます。そしてこのバンドの「パンク」も常に発見できたりします。
オリジナル・パンクが登場した時、誰でもバンドができるんだ的な、爆裂するパンク・ブームと同様な雰囲気を、'90年代のSWEDENのシーンにも感じていて、ヘタだろうが何だろうが、メロがあって速ければいいんだ的な発想の元に登場してきたバンド群も、やはり昔のパンク・バンドと同じような、たまらない魅力を発揮したりもするのですが、そういったシーンに段差をつけ、登り難くしたのも、SWEDENにおいてはやはり、このバンドのような気がします。そして、味のみで突き進むバンドが、時代とともに、やはり支持だとか人気といった部分では淘汰されていくのもやむを得ない現実かもしれません。しかし、世界のどこかで、そんなB級を愛してやまない、私のような人間も少なからずいるわけで、主流とはズレても、色んな形で残ってはいくと思いますし、残っていってほしいと願います。なにより、今、超一流で、主流たるSATANIC SURFERSでさえ、当初はB級以外の何ものでもなかったと思っていますし。
まぁ、しかしそんな少し高くなっちゃった敷居も、現代の器用な若い世代の人たちは、なんなくコピーしてみせるんでしょうけど、それが故に、本物の高速感や哀愁、そしてそのバンドだけの個性や魅力といったものを求め、また、更なる進化といったものを求めずにはいられないのかもしれません。おのずと最近の若いバンドへの見方も厳しくなるのかもしれません。
SATANIC SURFERS 1989 - 2007 http://www.satanic-surfers.com/news.asp
SATANIC SURFERS MySpace http://www.myspace.com/satanicsurfers

当時のスウェーデンでも、少し本流から離れたところに位置し、しかし、極めて本格的なメロディック・ハードコアといった印象のバンドが、このPASSAGE 4ではないかと思います。
その高速感と哀愁が炸裂した、カッコよすぎるサウンドから、コアなファンからは、もはや伝説の'90s SWEDENバンド的な扱いで、ヤフオクなどでも高値で取引されたりしているのも、よく見かけます。
PASSAGE 4は1991年に結成され、1998年まで活動していたバンドで、活動期間の割りに音源自体も少なく、'91年に"Baggy sucks"というデモ、'92年にCDEP"Something to start with"、'93年にこの最初にして、最後のアルバム"World circus"、そして'94年に"Counterfeit"という7inchと、以上が全ての単独音源だと思います。
"Baggy sucks"デモは未聴ですが、"Something to start with"はなぜかmp3で持ってたり、この"World circus"と、"Counterfeit"7EPは所有していたりします。今いろいろと調べながら書いていると、意外にフォローできていた自分に少し悦に入ってたりします。
しかし"World circus"は、本当に当時でも、なんとなく流れで奇跡的に入手した感じで、リリース元のWounded recordsというレーベル自体、このPASSAGE 4とPALIMPSESTという2バンドと、数えるほどの音源しかリリースしておらず、PASSAGE 4の作品も海を渡ってきたこと自体、奇跡的な感じでした。ちなみにPALIMPSESTというバンドのほうは、全くもって入手できず、今だ聴けてません。女性メンバーとかいるバンドなので、どんな音なのか聴いてみたいんですけどね。PASSAGE 4はむしろ、Gift Of Lifeからリリースされたシングル、"Counterfeit"の方が当時は遥かに容易に入手できました。しかしアナログな上に、Gift Of Lifeも今となってはもう、色々難しいかもしれません。
それにしてもPASSAGE 4というバンドは、本当にカッコいいサウンドを持ったバンドで、その高速感で突っ走り、哀愁を帯びた叙情的なメロディー、ドラマチックな展開と、現代における、メロディック・ハードコアに求められる要素を、全て兼ね備えているバンドなのかもしれません。オランダのUNDECLINABLEの絶頂期が、その高速感と湿り具合など近いかもしれませんが、今も圧倒的に人気の高いUNDECLINABLEに匹敵する破壊力を、このPASSAGE 4は持ち合わせています。
"Something to start with"では、少し忙しない感がするものの、叙情的なメロディーは既に出来上がっており、高速ナンバーを披露していましたが、彼らは、この"World circus"で、それを完全な形で、自らのスタイルとして完成させており、前作で感じた忙しなさといった部分が消え、高速感は損なうことなく、その哀愁のメロディーは落ち着いた感すらあり、劇的な高速メロディック・ナンバーを余すところなく展開しています。一曲、一曲にメリハリが効いていて、その高速感にもバリエーションがあるので、作品的にも非常に起伏を感じさせてくれ、壮大で劇的な楽曲の数々で、このアルバムをメロディック・ハードコアの名盤に仕上げています。
メンバーはその後、LANDSLIDEとWITHIN REACHというバンドで活動していて、LANDSLIDEは非常に叙情的なサウンドを有したエモのバンドのようで、また、WITHIN REACHはゴリゴリのストロング・スタイルだったりと、なんだか割れたメンバーの動向も、非常に興味深いものがあります。WITHIN REACHはもう解散してるのかな。
そんな中、ASTREAMの時も書いた、スウェーデンのBAD RELIGIONのトリビュート、"A Tribute To Bad Religion"は、Vol.2も出ており、その"A Tribute To Bad Religion Vol.2"には、PASSAGE 4も収録されていたり、PRIDEBOWLやADHESIVEなども収録されているのですが、私はなぜか、Vol.2が出てるのを知ったのが最近で、所有もしてない上、PRIDEBOWL以外、全く聴いたことがありません。なんかSOBERとかまで入ってるし、ADHESIVEの"Skyscraper"とか超聴きたいですし、PASSAGE 4のBAD RELIGIONのカバーとか、もう激しく聴きたいです。今一番聴いてみたいCDはコレかもしれません。スウェーデンのパンク・バンドのプリンスのトリビュートとかってわけのわからないものは持ってるというのに...まったくorz
PASSAGE 4 MySpace http://www.myspace.com/passage4
LANDSLIDE MySpace http://www.myspace.com/landslide1
WITHIN REACH MySpace http://www.myspace.com/withinreachswe

彼らこそ、SWEDENのALL/DESCENDENTS、SWEDISH POP/FUN PUNKの雄と言ったら、怒られるのでしょうか。まぁ、誰も怒りはしないでしょうし、そう公言しても、彼らを知っている人ならば必ず頷いてくれることを信じて、'90s SWEDEN特集も佳境に入り、満を持してのご登場、STUKASです。満を持してりしてるのは私だけかもしれません。
彼らとの出会いも"Hardcore For The Masses Vol.2"ですが、もう、その力弱い素敵なボーカルと、それに被る女性の伸びやかな声、変態的アレンジと、ポップでキャッチーなメロディーに一発でK.O.されました。
STUKASは1989年に結成。ギター&ボーカルのPuttra Wikdahl、女性ボーカル&ベースのMia Wikdahl、名前を見てもわかるとおり、ご家族ですね。どっちが上かわかんないですけど。それにドラムのBjörn Jonssonという、男女ツイン・ボーカルのトリオバンドです。
その特徴的な編成もさることながら、当時のSWEDENに於いても、本当に異質なサウンドやスタイルを持っていたバンドだと思います。当然ポップなアプローチをするバンドは多存在したのですが、アメリカナイズされているという部分でも、ここまでALL/DESCENDENTSを彷彿とさせる、ポップ&キャッチーさを兼ね備えていたバンドは他に見当たらないと思います。
'94年リリースのこの、"The World According To"という1st.フルレングスは、ポップにしてキャッチー、そしてメロディアス、また高速感といったものも覗かせる、本当に味わいのある名盤です。
私はこの"The World According To"と、同年リリースのカバーCDEP"9"、そして2nd.アルバム"Showing Off"という、BIRDNESTからリリースされた3枚のCDしか音源を所有していないのですが、7inchwで'89年に"Gonna kill her"、'90年に"Somewhere Inside"、'91年に"Squeezing out"と3枚のアナログと、'94年にCDEP"Funhouse"という音源があり、"Gonna kill her"はリリース元違いの青ジャケと赤ジャケ、 "Somewhere Inside"もリリース元違いのスリーブ違いが存在するそうで、非常にマニア泣かせのレア音源だったりします。というか音すら聴いていない、地方在住のオッサンは10年以上経った今でも少し泣けてきます。せめて音だけはと思いつつも、どうにもならないので、あいもかわらず遺産のみで勝負していきます。
もう一曲目から軽快な疾走感と、ツインボーカルが炸裂する、彼ららしいナンバー、"Gonna Kill Her"で幕を開けます。続く"Scary"は前述した"Hardcore For The Masses"に収録されていたナンバーで、ヘナヘナ男性ボーカルが中心に歌いあげつつ、途中高速展開もしたりして、変態リフを混ぜるので、ツタツタいっても速くは感じないというおかしな感覚。そのアレンジもさることながら、劇的なメロディーに複雑な構成と、非常にインパクトのある楽曲だと思います。思えば男性のほうのボーカルはこの曲以外ヘナチョコじゃないんですよね。
以降も、軽快な疾走感はたえず持ちつつ、ところどころにそういった妙な変態性も感じさせたり、とはいいつつもキャッチーさは損なわない、コンパクトなナンバーも装備していたりと、本当にポップで、キャッチーな、明るい華やかさを持っているバンドだと思います。そういうと、まさにALL/DESCENDENTSのそれなのですが、4曲目の短めのインストと5曲目のコンボなどは、本当にALLそのものなアプローチを感じてしまいます。11曲目はDESCENDENTS丸出しです。本当に随所にALL/DESCENDENTSアプローチや、モロなフレーズを垣間見れます。アメリカン・ポップな雰囲気もしますね。しかし、全体的に、やはりそのメロディーは欧州のバンドを彷彿とさせる、どことなく寂しげな、哀愁なんかも感じさせてくれるので、そういった部分もメロディアスさをさらに押し上げ、本当にこのバンドも素晴らしいメロディー・メーカーなのだなと思います。
次作のCDEP"9"はそのカバーのチョイスが何とも?で、なんだか印象に残るものがないのです。2nd.アルバム"Showing Off"は、やはり素晴らしいメロディーは多く存在し、良い曲も多いと思いますが、やはり1st.の華やかな雰囲気や、軽快な疾走感というものが、あまり感じられず、かなり落ち着いた感じです。
やはり、この"The World According To"が、私的には抜きんでて良い作品に感じます。しかし、後半になればなるほどALL/DESCENDENTSだなとか、感じますね今聴くと。ほんと、世界でも他に類を見ないほどの、ALL/DESCENDENTSフォロワーなんじゃないかと思います。このアルバムだけだと。もちろん、そういった部分も評価が高いところなのですが、やはり、"Gonna Kill Her"や"Scary"のような、そのアプローチの上の、彼ら独自のカラーが前面に出たナンバーがすごくカッコよく感じられます。そういった意味ではラストの"Klown Town"というナンバーもワイルドな味さえ感じさせ、独特の旨味を感じます。

知る人ぞ知るといった表現が一番適しているのか、いわゆるマニアックとも言えるSVENSK TRALL PUNKの中でも、さらにエグい感じがしないでもないですが、当時私的には、この作品が、この世で一番速いと感じた、というか、なんか脳感速度が異常だと反応した、狂ったスピード&粘った母国語も素晴らし過ぎる、SECTOR SEXSのセイム・タイトルをご紹介です。牧歌、民謡、演歌をこねくり回し、超高速メロディック・ハードコアにすると、初期SECTOR SEXSが出来上がります。
"Klubb Eurpa"という曲は一部で話題騒然といった感じだったらしいので、知ってる人は本当によく知ってるかもしれません。本来、このバンドの楽しみ方は、デタラメなスウェーデン語でいっしょに歌ったりするのが、至上のエンジョイ・プレイです。
なんだか最近ではユニオンさんにもアルバムが入荷しちゃったりして、聴いた人もいるかもしれませんが、残念ながら、2枚のフル・レングスだけの入荷のようで、1st.フル・レングス"...På Oväntat Besök"は、音作りも近代的になり、一般受けはしそうですが、なんだか普通になってる感じがありありとするので、本当に個人的な意見ですが、少し食傷気味です。でも、普通のメロコア好きの方には、一番すんなりくる作品とは思いますので、消えちゃう前にぜひという感じです。また、私も当時買ってなくて、最近ユニオンさんで購入した、改名して単数形になって、英語で歌ってやがる2nd.フル"Songs We Wrote"は、個人的には問題外といった作品で、SECTOR SEXSの良いところが「S」とともに全て消え失せています。
SECTOR SEXSは'89年に結成され、'93年に7inch"Till alla er..."をリリース、'94年MCD"Sector Sexs"、'95年にCDEP"Lås din dörr"、同年1st. full-length"...På Oväntat Besök"、'96年にSECTOR SEX名義で、2nd. full"Songs We Wrote"をリリースして、同年活動を停止しています。私はCDEP"Lås din dörr"だけ持ってません。というか見たことも、聞いたこともありません。今、歯ぎしりをしています。
ちなみにデビュー作の7inch"Till alla er..."は、なぜか持ってたりするのですが、あるサイトで300枚限定との情報を見て、途端に今上の埃を払っていますが、HOT STUFF盤なので、再販だコレ。それともコレが300枚か?このEP、当時日本では結構出回ってましたよ、何故か。この作品もへっ込んだ音質ながら、クソっ速、ダサ暗で最高です。そう、初期のSECTOR SEXSには、ダサさといったものが確実にあります。そのダサさを高速感モロとも聴いている側に、お構いなしに叩きつけるのが、SECTOR SEXSの真骨頂です。
というわけで、私的にはSECTOR SEXSといえば、7inchも捨てがたいのですが、インパクト的にやっぱ"Sector Sexs"ということになってしまいます。ガイキチな高速感、哀愁と言っていいのかわからないのですが、確実に心を揺さぶるメロデイーを火をつけたように加速させ、捲くし立て粘りつくスウェーデン語に絡み付くサックス、ウ〜だとかア〜だとかオ〜だとかのコーラス、なんか同じく母国語で歌ってるDIA PSALMAあたりを、限定解除して、リオのカーニバルにフリチンで放り出すと、SECTOR SEXSになるのかなという感じです。というか、それでは別モノです。
カッコつけてるのにダサイ。素晴らしいです。誰も着ないオレンジ色のタキシードを着て、ショッキング・ピンクのキャデラックに、タケヤリデッパな装飾で、むりやり時速300kmくらい出るように違法改造し、車幅ほどしかない路地裏を、車体こすりつけながら、ガリガリ突き進んでいる感じです。そんなもので彼女を迎えに行っても、結果は見ずとも分かります。その上即逮捕です。しかし、いい〜んです。パンクたるもの、若い女からツバを吐かれ、逮捕されるくらいでなければ、一人前のパンクスとは言えません。いや、ウソです。それは言いすぎました。逮捕はマズいです。それに女の子とはイチャイチャしたいです。というか、激しく脱線していますが、初期のSECTOR SEXSはこのくらいの勢いがあるということです。
なにはともあれ、圧倒的なインパクトで脳感速度を麻痺させるオープニング・ナンバー"23:50"。しかし、なぜ最後にそのフレーズのギターを弾き、フェード・アウトまでするのか、皆さんに音源を送りつけて、是か否か判断していただきたい気持ちでいっぱいです。そして、続く"Mer Än En Dröm"、"Du/Jag"といっしょに歌わずにはいられない、歌モノです。特に"Du/Jag"のブレイク開けの「ゥワ、キャリッティヌゥワレイ、ヤドリップシュトゥワレイ、ッキャニィッテイヒィアレイ、ヌッベッテェハーティーハ〜」ってところが大好きです。実際そう言ってるかは分かりませんが、私はこう歌っています。そして、満を持しての名曲"Klubb Europa"。なぜ歌メロと同じフレーズをサックスで被せるのか、そのサックスがなんかDICKIESのボーカルが一緒に歌っているように聞こえて、サックスを吹いている人の感性すら疑ってしまいそうですが、だが、それがいい、です。前田慶次も、もっこり、いや、にっこりです。続く5曲目は趣も変えてロケンローな"Säg Nej Till Allt"、オ〜ケィとか囁いたりするのが極めてダサいです。「セイネイティラーッ、プロックセッ!」です。そしてラストを飾るのは、毛穴を開ききって、アンサンブルの全てを捲し立てる"Till Alla Er..."です。そして、ラストにしてまたキタコレ、お得意の演歌チック・ギターで、トリモチを足にベッタリとくっつけたまま、自分を天然記念物と勘違いしたアホウドリは、軽やかに大空へ羽ばたいていきます。
もう、いつ聴いても素晴らしいです。彼らには「ブラボーッ」という賛辞が、実に良く似合います。
待望のフル、"...På Oväntat Besök"では、オシャレなスーツで、速度の出るスポーツ・カーで普通に飛ばしている感じがするので、日本に数人いるバリバリのセクセク・マニアには少しイケすかないのかもしれません。しかし、母国語バリバリ顕在ではあるし、オシャレなスーツにおかしなチェーンをぶら下げているような、ダサさは少なからず残っています。





