High-Speed-Flower
高速メロディックパンクを中心に、メジャーから激マイナーまで、バンドや音源について書き連ねちゃったりしていきます。
USELESS I.D. -THE LOST BROKEN BONES-


イスラエルのバンドといった肩書きなど、もはや全く無用なほど、その素晴らしいメロディー・センスで、世界中で支持され、メロディック・パンク/ハードコアの代表格、または大御所とも言える存在にまで成長した、このUSELESS I.D.。
'04年の"Redemption"以来の、実に4年ぶりとなる、注目と待望の新作フルアルバムは、ストイックにして、ダーク、ハードにして、シビアな視点で、哀愁とともに、怒り、混沌、孤独、悲しみ、苛立ちを、熱く歌い上げる、ミディアム中心の作品になりました。

もう、既に説明すら不要な感すらありますが、USELESS I.D.は'95年に結成された、イスラエルのバンドです。'97年に自らの立ち上げたレーベルFalafel Recordsから、1st."Dead's Not Punk"をリリース。1000枚限定の激レア作品でした。このアルバムはYo Yoからリイシューされ、日本でも'03年にBULLIONから国内盤が出ています。Falafel時代、ボーカルは現在のYotamではなく、Guyが担当し、そして'99年に"Get in the Pita Bread Pit"をFalafelからリリースした、翌'00年、彼らの知名度を一気に上げた、THE ATARISとのSplit、"Let It Burn"をリリース。アメリカのKung Fu Recordsと契約した彼らは、"Bad Story, Happy Ending"('01)、"No Vacation From The World"('03)、"Redemption"('04)とコンスタントにアルバムのリリースを重ねるとともに、その持ち前のメロディー・センスは完成度を増し、その知名度や、支持を不動のものにしていきました。
さらに掘り下げた彼らの経緯は、BULLION国内盤の、Bells On RecordsのLUOIE氏の、熱いライナーを参照していただくのが最良かと思いますが、それととともに、今作こそ、その彼ら自身の想いを内包した歌詞の和訳を収録した、そのBULLION国内盤が、ぜひともオススメです。

彼らを取り巻く様々な事情は、かくも悲壮感の溢れるものなのでしょうか。ここ最近、私すら、このバンドがイスラエルのバンドあることを全く意に介していないほど、彼らのその類稀なるソング・ライティング・センスは、かのNO USE FOR A NAMEとも、比肩できる、数少ない才能を持ち合わせたといっても、全く過言であると思いませんが、その素晴らしいソング・ライティングのセンスはそのままに、彼らはこういった、ある意味でハード過ぎるアプローチをかけてきて、彼ら自身が、イスラエルという国に生まれたバンドであるという主張を前面に押し出してきた感すらする、非常に重い作品であると、同時に新境地の作品とも言えると思います。
その抜群のメロディー・センスと、またアプローチによっては、抜群の高速感を容易く表現することができるUSELESS I.D.が、ある意味では武器とも言える部分の一つでもある、高速の疾走感がほぼ全編に渡り極力抑えられ、これまでに彼らが多分に有していた、ポップさや、ある種の爽快感といったものすらも全てオミットしているかのような、この“The Lost Broken Bones”はある意味では、問題作といってもいい作品とも取られ、その賛否は大きく別れるのではないかと思います。
しかし、前述した彼らの類稀なるソング・ライティング・センスは、本作でも寸分も損なわれること無く、感情豊かなその歌とともに、哀愁を帯びたメロディーが、その抑えた速度と、地を這うような曲調に乗せられ、それこそ全編に渡って展開されています。その哀愁と叙情感、そして時には激しさすらも伴う、楽曲の数々に、本来の意味でのパンクの内なる怒りや、渦を巻くエネルギーのようなものを感じずにはいられません。ここにきて彼らは、さらなるパンク、そしてバンドとしての、表現力の高みというものに到達したのかもしれません。
満を持して繰り出される、9〜10曲目といった、数少ない高速アプローチの、その爆発力たるや、さすがとも言える彼らの実力を物語り、幅広い表現力とともに、圧倒的な破壊力すら持ち合わせているという、彼らがパンクバンド以外の何者でもないことを証明しているかのようです。

賛否は大きく別れるのではないかと言いましたが、私自身、これだけ高速というものが好きだし、それに拘りながらも、このミディアム中心の“The Lost Broken Bones”が、全てにおいて、メロディアスにしてストロング、そして最もハードな、USELESS I.D.の最高傑作なのではないかと思ったりしています。
それにしても、この胸が苦しくなるような感覚はなんでしょう。彼らの見据える未来は、そして、彼らの目指す到達点は... 新しい作品を聴き、そして早くも次のUSELESS I.D.が気になってしまいます。

USELESS I.D. MySpace http://www.myspace.com/uselessid

THE T4 PROJECT -STORY-BASED CONCEPT ALBUM-
Story-Based Concept AlbumStory-Based Concept Album
(2008/05/13)
The T4 Project


BAD RELIGION,BUZZCOCKS,PENNYWISE,CIRCLE JERKS,SUBHUMANS,THE DAMNED,CONFLICT、etc、といった錚々たるUS、UKのパンクバンドのメンバーによる、オフィシャルでの販売のみだった自主制作アルバムが、ついにCDで一般販売されました。そして、リードボーカルは、私も大好きなあの声、あの歌、STRUNG OUTのJasonです。全編にわたるJasonの歌は、STRUNG OUTファンには、思わぬデカいプレゼントとなることは請け合いです。
ストーリーに基づいたのコンセプト・アルバムということで、ブックレットには、そのストーリーに則した歌詞と、イラストが綴られています。まぁ、英語がわからないと、どうにもそっちは楽しみようがないのですが、サウンドのほうは、パンクなオリジナル曲が、10曲収録されています。そのコンセプト上だと思いますが、クレジットは18曲となっていますが、S.E.的なサブ部分がカウントされているだけです。この辺ジグ・ジグ・スパトニックを思い出しちゃいました。それにしても、これほどまでに豪華なメンツを揃えてるのに、私が知らないだけかも知れませんが、日本では、それほど話題にもなってないようで、もう、どこでもいいので、和訳を付けて、DVDとか付けて、日本っぽく国内盤をリリースしてほしいものですが、まぁ、無理なのでしょうね。

低予算で、複数のセッションをミックスしているというサウンドですが、にもかかわらず、やはり、ベテランが揃っているだけに、曲ごとに質感は、変わる感じはしますが、一曲ごとにキッチリとパンク・サウンドとして仕上がっています。そういったところも、オールスターを集めて余興的に一曲であるとか、そこそこいろんなメンバーで、適当に何曲かデッチあげてといったフザけた姿勢は、微塵も感じられず、そのキチンと作り込まれた楽曲からも、実に真剣に作られたアルバムであることが理解でき、非常に好感がもてます。また、リード・ボーカルは全曲とも、Jasonが務めているので、そういったアルバムとして、バンドとしての統一感や、整合感も充分にあります。ともすれば、彼のような強いボーカルだと、STRUNG OUT丸出しになってしまうかもしれませんが、そこは聴き方にもよるでしょうが、サウンドの質感自体は大きく異なるため、充分に別の個性が窺えます。むしろ高速の曲よりも、ボーカルが歌で引っ張るミディアムや、スローテンポの曲が、モロにSTRUNG OUTといった印象で、それはJasonの歌唱の実力を証明しているのかも知れません。モロといえば、STRUNG OUTよりも、モロ最近のBAD RELIGINといったスピード・ナンバーもあり、この辺りがBAD RELIGINのボーカルがJasonに変わった的な、オモシロさを感じて、個人的には、そちらのほうが、このT4 PROJECTを、サウンドやバンドとして聴く、楽しみ方が見い出せるな気がします。また、かなり多くを占める高速ナンバーも、メンバーが、メンバーだけに、今日的メタリック・ハードコアというより、疾走系メロディック・パンクといった感じで、非常に面白いです。全体的にも、パンク・アルバムとして、かなり高く評価できる作品であると思います。

どちらにせよ、Jasonがボーカルである以上、MILESTONEのYuki氏とのメールのやり取りで、Yuki氏も言ってましたが、なにせあの声は最強なので、STRUNG OUTファンには、マストであることは間違いないでしょう。
そして、いろんな意味で、今日的なパンクロックを物語っている、面白い作品でもあると思いますので、楽しんで聴ける、オススメできる作品だと思います。結構、入手は楽そうで、私はAmazonで買いました。

THE T4 PROJECT Official http://thet4project.com/
THE T4 PROJECT MySpace http://www.myspace.com/t4project

BODYJAR -RIMSHOT!-
Rimshot!Rimshot!

Bodyjar


オーストラリアも、かなり昔からパンクの盛んな国で、メロディック・ハードコアに類するバンドも多く存在します。日本での知名度はともかく、オーストラリア国内でチャートに入るほどのビッグ・ネームが、このBODYJARです。もっとも、今現在の彼らの音は、とてもメロディック・ハードコアとは表現できない、むしろ、ポップなパンク系ロックバンドという呼び方をしたくなるほど、その音楽性は変貌していますが...
バンドが歴史を重ねるにつれ、方向性の変換により、スピード感は置き去りにされたまま、彼らが、メロディック・ハードコア時代から持っていた、ホピュラー・チューンをチャートに放り込めるほどの、メロディーセンスと、ポップさは磨きがかかっていきます。それは、私個人的には、ひどく歯痒いことだったりします。

BODYJARは91年、前身のHELIUMの名で結成。HELIUM名義でアルバム"You Can't Hold Me Down"をリリースした後、BODYJARに改名。94年に1st.アルバム"Take A Look Inside"をリリースします。この1st.はメロディック・ハードコアというよりは、現在のポップパンクに類する感じで、"Do Not Do"という、高速キラーチューンはあるものの、テンポ的にもゆったりとした印象を受けます。HELIUM名義の前作のリテイクなども含まれ、その音楽性はHELIUM時代と、さほど変わりません。当時よく引き合いに出された、アメリカのALL(DESCENDENTS)の、Bill StevensonとStephen Egertonコンビのプロデュースですが、センセーショナルな音というほどではないように思います。しかし、HELIUM時代もそうですが、すでにこの頃から抜群にPOPです。ちなみに、国内盤はビクターからのリリースで、オリジナルの胎児ジャケットは、国内盤で、ポップでキッチュな感じのフォトに差し替えられています。また、以降のリリースもそうですが、ビクター国内盤には、当時入手し難かった、EPや12インチが、ふんだんに詰め込まれ、実に有難いかぎりでした。とともに、輸入盤買っちゃった後に、国内盤も買わざるわえなくなり、さらなる散財を迫られるわけですが。当時のビクターさんは、テイチクさんとともに、メロディック・ハードコア系のアーティストのリリースに、非常に精力的で、スウェーデンの主だったバンドなどの国内盤も、多く手がけてます。ホント良い時代でした。と、話は少し横道に反れましたが、その後、ドラマーをメンバーチェンジし、彼らのキャリア中、最高の速度を誇る作品が、96年リリースのこの、"Rimshot!"です。

彼らにとって、ドラマーをチェンジしたのは大正解で、この2nd.アルバム"Rimshot!"から、それまでのモッサリ感が抜け、エッジの効いた、非常にタイトな演奏に変わりました。また、全体的な音の作りも、ヘビーかつメタリックになり、それが大半を占める高速ナンバーと相俟って、実に重高速メロディアス・コアといった趣の素晴らしい仕上がりを見せています。メンバーが、インナーで、STRUNG OUTのTシャツを着用しているなど、そういったFAT系のUSメロディック・コアへの傾倒が、この時期、もっとも顕著に現れています。もっとも、そこら辺を狙って、しかもそれを、標準を高く超えるクォリティで、簡単にやってのけるあたりが、このBODYJARというバンドの、恐るべき器用さと、類まれなるセンスを物語っています。

BODYJARは、98年リリースの次作"No Touch Red"で、タイトな演奏はそのままに、スピードをやや落とし、更なるメロディアス路線を推し進めます。しかし、"No Touch Red"は、全体的に洗練されたにもかかわらず、充分にパンクアルバムとして成立する良作です。初期の彼らに思い入れが強い分、多少厳しい言い方になりますが、私がBODYJARを、パンクバンドとして認識するのは、残念ながら、その3rd.アルバムまでです。しかし、たとえ、パンクでなくなったとしても、素晴らしいメロディーだけは、今でも、十分すぎるほど持ち合わせています。彼らのその類まれなるセンスと器用さは、今もどこかで、パンクス以外の人を楽しませ、満足させているに違いありません。


BODYJAR Official http://www.bodyjar.com/