High-Speed-Flower
徹頭徹尾高速哀愁。HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS レーベル情報、高速メロディックパンクを中心に、バンドや音源について書き連ねていきます。
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FAST MOTION -SAILING TO NOWHERE-


一昔前のフランスのメロデイック・ハードコアのテイストのバンドといえば、私的にインパクトがあったのは、LEGITIME DEFONCEくらいしか思い浮かばず、それも、母国語で歌い上げるバンドで、質感的にはむしろTrall的な質感を感じたものでした。
しかし、近年のフランスのメロデッィック・シーンはHOGWASHやSTRAIGHTEN THINGS OUTをはじめとする、どちらかといえば正統派のメロディック・ハードコアから、そういったメロディック・ハードコアにオールド・スクール・ハードコアの要素を融合せ、また独自のストロングなスタイルを持つ、NINE ELEVENやM-SIXTEENといったバンド、またスカをモチーフとしたといったバンドまで、基本的にメロディック・ハードコアというものが中心にありながらも、多岐にわたる音楽性や表現を持ったバンドが多く存在しており、それはシーン自体がかなり活性化されているという、一つの実証的な事象なのかも知れません。

そして、今回、国内盤として、日本初登場となる、このフランスのFAST MOTION。メロデイック・ハードコアというカテゴリーでも、全く問題はありませんが、彼らはそのメロディック・ハードコアといったものに、前述したようなオールド・スクール・ハードコアの要素を色濃く反映させ、ストロングでハードな味わいといったものを強く感じさせてくれるバンドであると思います。しかしながら、それはカオスやノイズ的な部分が突出してるわけでなく、そこには近代的なスタイリッシュさと、ある種のポップさや、メロディアスさ、すなわち、それは確実に近代メロディック・ハードコアを通過してきたサウンドであり、それは私には非常に整合感のあるハードコアといったものに感じられます。

FAST MOTIONは2005年にフランスで結成。彼らはBad Religionのようなメロディアスなバンドから、 Rise Against、Strike Anywhere、Comeback Kid、Raised Fistといった、メロディアスな部分を持ちつつも、ストロングなスタイルのバンドに大きな影響を受けています。
2007年の初頭、スタジオ音源"Built upon ruins and ashes"というデモをレコーディング。翌2008年、7曲入りのCDEP "Sailing to nowhere"を本国でメンバーの運営する、Street Machineよりリリース。
幾度かのメンバーチェンジを経て、現在のメンバーはGET(Vocal)、 GREG(Guitar)、OLIVE(Guitar)、CLEM(Bass)、KAM(Drums)の5人。

そのサウンド・スタイルは、ストロングにしてスマート、ハードにしてメロディアス。オールド・スクール・ハードコアを基調とした、ストロングでハードなスタイルを持ちながらも、随所にメロディアスでキャッチーな要素を散りばめ、モダン・メロディック・ハードコアのスタイルも持ち合わせた、そのスタイルは進化形オールド・スクール・ハードコアという表現すらできます。
プレオーダーの特典にもしましたが、彼らの前回のレコーディングのデモ音源というものを耳にしたことがある方には、その進化などが如実に見て取れると思いますが、実質的に初のオフィシャルな作品となる今作では、さらに厚みを増したサウンドと、ストロングでハードなスタイルでありながらも、多くの部分にメロディアスさが顕著に現れる、彼等の現在のスタイルが確立されており、また、前回のデモ音源の再録"Tookie"では、ホーン・セクションを導入して、アレンジの幅を広げるなど、彼等がただのストロングでストレートなハードコア・バンドではないことが如実に窺えると思います。
また、さらに今回の国内盤に追加収録されている、新録の3曲も、そういったスタイルからブレることなく、期待通りの実に彼ららしい楽曲を仕上げてくれています。
彼らを初めて聴いたとき、私は、REACH THE SKY辺りのバンドを想起したのですが、そういったイメージこそが、前述したような、整合感のあるハードコアといった感覚で、それはハードな質感を持ちながらも、非常に聴きやすいといった部分を持っているといった共通点があるのかもしれません。また、新録の3曲と同時に彼らがレコーディングした、GOOD RIDDANCEの楽曲も、実に彼ららしいチョイスだと思いますし、そのズッパマり具合なども、元々のGOOD RIDDANCE自体が、その整合感のあるハードコアといった感覚を有しているに他なりません。

彼らのみならず、オールド・スクールとモダン・メロディック・ハードコアの融合といった音楽性や、またオールド・スタイルをモチーフとしつつも、さらに近代的要素を加味した音楽性を有したバンドは、フランスはもちろんのこと、世界各地にもまだまだ数多く存在していると思います。それは一つの方法論として、新しい世代がパンクに対する答えに真摯に向き合い、さらに進化しようとするパンクの新たなる形を生み出そうとしている姿なのかもしれません。

当初、彼らと国内盤のリリースの話を進めるに当たり、こちらとしては、インディーの、しかも個人が運営するレーベル故、そのオリジナルであるCDEPという形でのリリースは、経営的にも無理があり、こちらとしてはあまり都合がよろしくなく、また、彼らのほうから持ってきた話であったため、今回のこのCDEPのリリースは、ほぼ絶望的な形で流れることになろうとしていました。
そんな難航する話の中、彼らから、送ってこられた音源はとても魅力のある音源でした。というか、その音源はとても私の好みにあった、いわば非常にカッコいいパンク・サウンドであったという言い方が正しいかもしれません。
また、レーベルとの交渉の窓口であった、Gregの、その情熱や根気、その人柄といったものが、話を重ねていくうちに、十二分に理解できた私は、彼らのその姿勢といったものがすごく好きになりました。そのようなことで、なんとか方法を模索していって、紆余曲折の末、出された結論が、今回のかなりオリジナル要素をふんだんに盛り込んだ、日本国内盤"SAILING TO NOWHERE"です。
彼らはこの日本盤のために、ツアーの合間、わざわざスケジュールを抑え、レコーディングに入り、3曲の新曲をレコーディングしてきました。そして、およそ敬遠されがちなデジパックの仕様についても、デザインを新たに作り直してきました。それは、こちらの意向を全てといっていいほど呑む形で、対応してもらった形でのリリースでした。
そのように、リリースまで持ってこれたのは、一重に彼らの情熱と努力の賜物だったかもしれません。そして、そこまで、私にゲタを預けてくれた彼らの気持ちは、始まって間もない小さなレーベルですが、本当にレーベル冥利につき、とてもうれしい気持ちで、とても充足感を感じさせてくれました。私自身、彼らには本当に心から感謝してます。
そして、願わくば、その彼らのサウンドが多くの日本人に届き、彼らの作品を多くの方が手にすることを心から願っています。


2009.9.2. HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS Ku-ge

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