High-Speed-Flower
徹頭徹尾高速哀愁。HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS レーベル情報、高速メロディックパンクを中心に、バンドや音源について書き連ねていきます。
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POULTRY -POULTRY-
POULTRY 160

ほぼ思いつきだけで、行動しているといっても過言ではない私が、その思いつきだけで実行したいと思っているプランのひとつに、女性ボーカルのみの高速コンピレーションというのがあったのですが、それを実現するのが、いつになるかはわかりませんが、その女性ボーカルの高速バンドを探していた時に見つけたバンドが、このPOULTRYでした。
私が彼らにアプローチをしたとき、丁度というか、とてもタイミングよく、彼らは最初のアルバム、そうこのS/Tを完成させたばかりでした。彼らのサウンドの最初の印象としては、オランダのバンドの割に独特の湿り気みたいなものがないなと(笑)。しかしながら、逆にそれが面白く感じたのも事実てですし、また、'90年代と近代の狭間をたゆたうかのような、なんともいえない高速感。それは最近の若いバンドにはあまり感じなくなった多少の古臭さや懐かし感といった感覚、それまた何とも面白いと感じてしまいました。そこに乗っかるパンチの効いた女性ボーカル。もう、これは面白いとしか感じるしかないねと。
そんなわけで、私はおそらく、これまでのリリースの中でも最もインスピレーション的に、ただ自分が面白ぇなとかいう感覚のみで、まだまだ無名なバンドが揃う私のレーベルの中においても、さらに全く無名であろうこのバンドと、さらにアルバム全曲すら聴いてもない状態で、具体的なリリースの話を始めたのでした。ただ、それは僅か数曲でも、そのどれもに彼らの歌というものが充分な魅力を放っていると感じることができたから。
そして、順番がまるっきり逆ともいえる時間軸で、彼らから送られてきたCDを聴きました。それは、ある意味では私の勘に狂いは無かったぜ的な、自分の好みはど真ん中に直撃する、ナイス作品でした。うん、私にとっては。これは私がやるしかないでしょう的な?
で。さあ、それをレーベルとして打ち出すときに、どこまでこの感覚を一般のリスナーや、メタリック全盛のメロディック・ハードコア・ファンと共有できるかだ。で、おそらく、むしろ後者のほうと共有できない気がした。ははははははは。だめぢゃん。でも、ま、いっか。この、ま、いっか、とかいうところに、私のレーベルの真髄があったりするとか、言ってみちゃったりして。

パンクっていうのは、SEX PISTOLSがいれば、X-RAY SPEXもいるわけですよ。NO USE FOR A NAMEがいれば、SODAだっていたし。いやそこは、大部分の人は、知らなかったり、NO USE FOR A NAMEのほうを選ぶよね。でも、ボクは基本変わってるし、基本女好きだから、お譲ちゃんがいるほうに肩入れしちゃうよ。
そんなわけで、ジャングルをフリチンで探検したあとは、みんなはジョージア飲んでても、私は迷わずビン入りコーヒー牛乳をチョイスし、みんなはウルトラマンを見るのに、ボクはがっつりアイアンキングやジャンボーグAを見るわけだ。
とか言ってると、なんかすごくダメな感じがするだろうけど、全然ダメぢゃないよ、POULTRY。ハマる人は直撃だよPOLTRY。わかってもらいたいんですよね、そんなコーヒー牛乳的旨味を。そして、王道や本流から外れることの面白さと、別の味わいを。

またいつものごとく、話は少し横道に反れますよ。先日、Bullionの廬原氏とのメールのやり取りで、廬原氏曰く、最近の高速メロディックとかが聴けない理由に、歌やメロディーや楽曲を大切にせず、速いだけでよくわからないスポーツみたいなバンドが多く、ギターも前に出過ぎて歌がわからなかったりするといった事があると。
そう、そのとおりなんですよね。私自身、これだけ高速に特化したレーベルをやっているにも関わらず、そういう物足りなさみたいなものは、常に私も最近のバンドに感じているわけで、だからこそ、自分のレーベルのバンドを選ぶ基準は、カッコよさというのはもちろんだけど、まず歌ありきというか。そういうのを常に心がけていかないと、コンセプトはカッチリと決まってるだけに、いつか同じようなものばかりが並ぶ、つまらない品揃えになっちゃいそうで。
だからこそ、廬原氏の言ったことはまさにそれが答えだなと。そういう事を私自身は上手に言葉で表現できないんだけど、そういった部分の捉え方にこそ、今後のメロディック・ハードコアの、ひいてはパンクの分岐や、課題があるように思えてなりません。
私のレーベルにおいて、メタリックの急先鋒といえば、DEFYING CONTROLだと思いますが、彼らにしてもメタリック云々という語り口が一番理解しやすいだろうというだけで、そこは私の卑怯なやり口みたいなものがあるわけだけど、実際、その根底には歌やメロディーや声の魅力があるわけです。決してメタリックなギターがカッコいいということが、全ての決め手にはならないと思っています。
そして、極端に言えば、日本の"メロコア"的には、時代や流行に逆行するスタイルを持ち得ているかもしれない、このPOULTRYというバンド。しかし、彼らは若者のスポーツ的な感覚や、巧みなギターの技巧に対抗しうる、歌、メロディー、そして声の魅力を持っていると思っているわけです。だからこそ、同じ土俵に上げなければいけない必要性を感じるわけです。

平均年齢若干20歳のPOULTRY。その結成は遡ること2002年のオランダ。彼らはCOMEBACK KID、PENNYWISE、MxPx、BLINK 182、OFFSPRING、MILLENCONといった割とPOPな音楽性を有したバンドに影響を受けています。彼らの方々に見え隠れする、どこかオランダっぽくないとも思える、カラっとしたポップな感覚といったものは、そういったバンドの影響を如実に受けているからかも知れません。
もっとも、彼らのこのアルバム以前のデモ音源の7曲は、中には現在の片鱗を垣間見せるナンバーなどもありながら、全体的に実にオランダっぽくて、もっと暗く、湿度が高く、演奏もさほど上手くなく、今よりメタリックなこともしていたりなど、言い方を悪くすると散漫な印象すら受けるものでした。しかし、その既に長いともいえるそのキャリアの中で、彼らは独自のポップの打ち出し方、そして、その女性ボーカルを前面に押し出していく、術や、楽曲のアプローチといったものを、その演奏力の向上とともに同時に身につけていったのだと思います。
自らのバンド名を冠した、実質のデビューアルバムとなる本作では、高速メロディック・ハードコアいうカテゴリーには違いないのだけど、それは圧倒的なスピード感を誇るわけでもなく、また、エッジがガチガチに効いたソリッドな感覚を見せるわけでもなく、実に'90年代を彷彿とさせてくれるような、心地良い高速感的な、まったりハードコア感といったものを全編に匂わせてくれています。しかし、その丁度いいか、もしくは物足りないとさえ思うような、高速まったり感こそが、その歌やメロディーをより引き立たせる骨子として機能していると思います。
また、"No I don't"のような曲などは、私のような年代の人間がまず最初に浮かんだのが、スカでもないのにスペシャルズでした。どんなこと考えて、どう持ってくると、こういった妙な懐かし感出せるのかいな、スペシャルズ聴いたことあるんかいなって感じです。ただ、そんなところに如実に表れてますが、この作品に収められた楽曲の至る所に、彼ら自身の持つ現代のカラフルなポップさのようなものに混じり、パブロック的パンクのようなレトロ感覚が、いつも見え隠れしていて、私自身は、そこら辺がとてつもなくツボだったりします。そのカラフルなポップさや、ある種の古臭さといったものを、近代的なハードコアのスピード感で飛ばす楽曲がありつつ、まんままったりパブで酒でも飲みながら聴きたいような曲もありつつ、それでもポップな近代パンクのひとつの在り方を提示してくれているような気がするのが、このPOULTRYの良さや旨味なのではないかと思っています。

パンクの形はひとつじゃない。そして、そのパンクという大きなカテゴリーのひとつがメロディック・ハードコアだと思うのですが、日本における、メロディアスなハードコアパンクは、近年、"メロコア"という分かりやすすぎるともいえるアイコンによって、かなり身近な音楽であるとか、共有性すら持った音楽になったと認識しています。それはきっととても素晴らしい部分でもあるのだろうけど、逆に言えば、それが流行化などすることによって、ある種の形骸化といったものは避けて通れません。日本の多くの若いバンドがそのアイコンの象徴ともいうべき、Hi-STANDARDSの影を追えば追うほど、どれもが似通った音楽性とトーンを持ってしまうという皮肉。またそのアイコンは日本特有のものであり、決してパンクというアイコンに置き換えられるはしないという現実。
また、パンクの垣根を新しい世代が、メタルという手法を持って、新たなパンクとメタルの融合の形を提示したことは、それもまた、とても革新的な進歩と、革新的にリスナーを増加させたという、素晴らしい部分があったかもしれません。しかし、それすらも、流行というものや、速すぎる時代の流れは、それを形骸化させていってると感じてなりません。
多様化したパンクの形が、その一部が突出することにより、さらに加速する時代と共に形骸化していくのなら、せめて、やる側と、受け取る側は、多様化した価値観を絶えず持ちえるべきだと思います。そして、だからこそ、いろんなタイプのパンクバンドが必要とされなければいけないのだと思います。
少なくとも、私にとってはそんなパンクが必要です。そんなパンクのひとつの形がこのPOULTRYだと思っています。

2009.9.28. HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS Ku-ge

POULTRY MySpace http://www.myspace.com/poultryband

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