High-Speed-Flower
徹頭徹尾高速哀愁。HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS レーベル情報、高速メロディックパンクを中心に、バンドや音源について書き連ねていきます。
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RANDOM ORBITS -SAFETY MEETING-


自らをExperimental (実験的)、ジャムバンド、などと自称するように、高速メロディック・ハードコアを基調としながらも、斬新でアイデア溢れる展開やアレンジは、トリオ・バンドとは思えないほどの、厚み、深み、奥行きを感じさせてくれ、それは大人の高速メロディック・ハードコアといった呼称すら相応しいかもしれない。
前作"REAL FRIENDS FIX THE RUN"(2007)では、時にパンクとカテゴリーすることさえも困難な一面さえ見せる、多角的なアプローチから繰り出される、フレキシブルな展開のハードコア・ナンバーの数々で、時に7分にも及ぶ劇的な展開を見せるなど、即興の演奏から紡ぎだされたかのような、独創的なパンク/ハードコアの形を見せたが、2nd.アルバムとなる今作"SAFETY MEETING"では、その独創性はそのままに、さらにメロディアスな部分とキャッチーな部分を増幅させ、実験的な姿勢を残しつつも、よりシンプルな楽曲で、魅力あふれる新型メロディック・ハードコアの数々を披露している。本国とほぼ同時の発売で、彼らのその最新2nd.アルバムを国内盤化。

というようなことを、私自身がこのバンドを店舗さんなどに紹介するアナウンス資料には書いたわけです。というか、結構珍しく言いたいことはシンプルに言えたなとか、思っちゃったので、もう解説とかはいいかなとかも思いますが、そんなことも言ってられないし、他所の人は紹介してくれる人すら、めっきり少なくなっちゃったんで、まあ、ここぞとばかりに書くのがこのWebライナーなので書きたくりますよ。
なにせ私はウチのレーベルの中でも一番くらいに好きなバンドなので。

2003年、アメリカの太平洋岸北西部で結成された、Stevie(Lead Vocals, Guitar)、Ryab(Bass, Backup Vocals)、Blake(Drums, Backup Vocals)の3人からなるRANDOM ORBITS。 Propagandhi, A Wilhelm Scream, NOFX, Rush, Minus The Bear, Don Caballero, Get Up Kidsといったバンドに影響を受けているそうです。 そのスタイルは、即興の演奏から楽曲を練り上げ、独自の解釈で様々な音楽性を取りこんだ、独自の解釈のメロディック・ハードコアをプレイするという、確かな演奏力と豊富なアイデアを備えたトリオ・バンドであるといえます。2007年に彼らは11曲入りのフルレングス1st.アルバム"REAL FRIENDS FIX THE RUN"をリリースしています。

若い皆さんはあまり想像つかないかもしれませんが、彼らがトリオということもあり、私は彼らの1st.を聴いたとき、その見え隠れするどこか人を突き放すような音楽性や質感に、とてもHÜSKER DÜを感じたりしました。あ、ルックスもそんな感じだ(笑)。
前にもお話したとおり、その難解とも言える複雑で変則的なアプローチと、独自の解釈によるパンクへの昇華というのは、私が'80年代最も好きだったバンドの一つ、そのHÜSKER DÜの肌触りにとても近く感じたので、私自身はそういった経験的な音楽の捉え方により、彼らをより一層興味深く、また受け入れやすかったのかもしれません。
もっとも、HÜSKER DÜの持っていたその難解さや曲解さ加減よりは、遥かに難解ではなく、またその解釈に対するストレスなどが音楽性としても皆無な、RANDOM ORBITSのほうが非常に分かりやすく、また、当然のようにそれらの以降のオルタナティヴ全盛の時代を経て、彼らは今を生きるバンドであるので、そのアプローチにはより近代的要素も多く含まれ、今日的なハードコアの疾走感も随所に散りばめられているところが、余計に純粋に好きなバンドだなと感じた一因であるかもしれません。

まあ、しかし、実際の彼らは、その複雑な曲構成やアプローチとはかけ離れた、気さくでとてもシンプルな考え方やスタンスを持ってたりしまして、実は交渉で最もスムースに事が運んだのは彼らでした。日本でCD出さね?→うん、いいよ。→ほんじゃ出すわ→ありがと、グレイトだぜ!って、お互いほんとにそんな受け答え。即日メール2通くらいで決まっちゃった。まあ、どっちも大人とかビジネス的にしてはどうかとは思いますが、まあ、人生なんてそんなもんだね。
そんなわけで、彼らの1st."REAL FRIENDS FIX THE RUN"をリリースしようということがすぐ決定しました。しかし、しばらくすると、EP作るからそれも入れちゃおうって彼らから。おぉ、ありがたいねぇと、ボク。またしばらくすると、やっぱアルバム作りたいんだけど、そっちのほう出してくんない?ってメールが来ました。いや、間に合うんならいいよ。って答えたのが、5月くらいだったったけ。ほんとに間に合うんだろうかってなことはちょいと心配しましたが、色々とアナウンスの締め切りとかまでには、なんとかしてくれて、"REAL FRIENDS FIX THE RUN"ではなくて、彼らの意向通り、この最新タイトル、"SAFETY MEETING"が、晴れて国内盤発売の運びとなった次第です。

そのようないきさつで、彼らが当初の予定を変更してまで、リリースしたかった2nd.アルバム"SAFETY MEETING"。それは、以前より遥かにシンプルで、またキャッチーな部分すらも匂わせるような、しかしそれでいて、きちんと彼らの実験的な部分や独創性、またその変則的な展開など、彼ら自身もやりたいことを網羅した上で、聴く側にも大幅に歩み寄りを見せたかのような、広義での良質さといったものを備えた作品に仕上げてきました。
前作と比べ、大幅にアップしていると感じるのは、その全体的な高速感ではないかと思います。前作の音楽の複合性というもの故の複雑さや難解さというもの、それに伴い、一般的なメロディック・ハードコア等のリスナーが感じるかもしれないストレス的な部分を、見事に改善しているのが本作であると思います。
各曲ごとのアレンジや構成、そしてアルバム全体のスムースな流れ、それにより、このアルバムの大半を占める、いわゆる高速メロディックな楽曲自体、曲ごとによりストレートに高速感を感じるようになっているのではないかとも思います。
間口を広げた上で、聴きやすさと分かりやすさを取り入れ、そこに独自の解釈や独創性を取り入れる難しさ、その困難な作業を彼らは今作でクリアしているからこそ、彼らの本当の巧さのようなものをとても感じるし、およそ大作的なイメージで独創的世界観をもった感のある前作にも劣らない、深みや、奥行、味わいといったものが今作にも充分に感じ取れ、だからこそ、それができるようになった今だからこそ、彼らがこの作品のほうを日本のリスナーに聴いてもらいたいという気持ちがとても理解できました。
私自身、ラストナンバーをアコースティックで締めるとか、パンクバンドがもっての他だと思っちゃったりするのですが、こと彼らに関して言えば、その締めのアコースティックナンバー"Ellensburg Wa"の心地よさといったら、アルバムの最後を飾るにとても相応しい、余韻を残す名曲だとか思っちゃったりするわけですよ。そういった意味でも、アルバムの流れとして聴いてくうちに、まんまと彼らにやられちゃったなというのがあるんですよね。

彼らの自称するエクスペリメンタルということは置き換えれば、プログレッシヴという形容も同義に近いと思うのですが、昨今のプログレッシヴと呼ばれるバンドとは明らかに趣を異にするであろう彼らのプログレッシヴさといったものは、その意味合いにおいても、昨今あまりロック的にあまり使わなくなったような形容、エクスペリメンタルという表現のほうが案外しっくりくるのかもしれません。
パンクのさらなる進化と、新たなる可能性を求め、高速の次なる高みへ、彼らは常套手段など選ぶことなく、独自の手法と解釈で実験を続けています。

2009.10.27. HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS Ku-ge

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