High-Speed-Flower
徹頭徹尾高速哀愁。HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS レーベル情報、高速メロディックパンクを中心に、バンドや音源について書き連ねていきます。
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SHAMES -NEVER TRUST-
SHAMES-front 160

思えば日本のバンドはコンピ以外はしっくりいった試しがなかった。以前にもお話したことがあるかもしれないが、このレーベルを立ち上げたのは元々が、ある日本のバンドをリリースするためだったわけだが、それがいきなり頓挫し、海外モノへと路線変換を余儀なくさた。またやっと日本のバンドをリリースし、これからじっくり育っていってくれるかなと期待を寄せていたら、リリース直後に所属を外れた。それならばと、さらに大きな期待を寄せてリリースも決まっていた若い有望なバンドは、リリース直前に解散ということでどうにもならなくになってしまった。
日頃の行いが悪いのか、厄年だからなのか、まあ、とんと見当もつかんが、ともかく日本のバンドとは相性の悪いレーベルになってしまい、モチベーションダダ下がることこの上なしという感じなわけです、2009~2010年。

だからこそ、本当の意味で切り札が必要だった。徹底的に信頼のおける頼もしい奴等。圧倒的に良質なメロディーを持った奴等。幅広い世代のパンク心をふるわせる絶妙のアンサンブルを持った奴等。そんな私の理想や期待をガッチリ満たしてくれたバンドこそが、このSHAMES。そして、彼らの10年目にして初のフルレングスである"NEVER TRUST"。おかげさまでテンションもモチベーションもクソ上がってきまして、レーベル業務を放り投げなくてすみました。私は血管がブチ切れるほど、この日本の高速メロディック・パンク・バンドをお薦めしたい。

山梨で2000年にVo./Gt.のACEとBa./Vo.のMASAOが前身であるSAMURIDERを結成。2002年にDr.のTAGUCHIとGt.のYASUSHIが加入し、以降は現在にも続くメンバー4人が変わることなく、彼等は自分たちのパンク・ロックを追求して行く。2006年にSHAMESと改名後も、そのスタンスや基本的なコンセプトはなんら変わることなく、'90年代のメロディック・パンクをはじめ、往年のパンク、さらには'80年代のメタル/ハードロック等の影響を消化し、それらを反映させた、疾走感溢れるメロディアスなサウンドを作り続けていった。
今、シーンの先頭に立っているともいえるFACT、SUNSGRINDといったバンドたちとも共演を重ね、2005年には全国ツアーも行い、JAIRUS、NO WAY OUT、MILES AWAYといった、海外のアーティストのツアー・サポートも多数経験してきた彼等、そのキャリアは充分過ぎるほど充実していると言えるわけだが、これまで、さほど表舞台にその名が知れ渡るなどいうことはなかったかのように思う。近代高速メタリック・メロディックの奔りの一つとして、コアなマニアからは、そのSAMURIDERという名は、アンダーグラウンドで半ば伝説のように語られていたかもしれない。しかし、それは、あくまで知る人ぞ知ると言った類の事でしかなく、彼等を表舞台に引きずり出すほどの事実では無かったのだろう。また、彼等もバンドとしても日常としても、当然のように歳月を重ね、メンバー全員が30歳を過ぎ、それぞれが家庭を持ち、近年は、昔ほど自由に動けなくなっていることもその要因ではあったかもしれない。彼らの長いキャリアの中、大きなチャンスにも出会ったように聞いているが、それが絶妙のタイミングとはならなかったのかもしれない。
しかし、彼等は常に彼らのスタンスで、その歩みを止めることなく、良質なサウンドを作り続けていた。彼らが2006年にリリースしたSHAMES名義での1st.デモ、"Over the generation & keep on rocks"は、今までに日本に無かったような初期のBODYJARのような印象を受け、2009年に発表した2nd.デモ"Just see want happens"は、さらにスピード感を増した楽曲も多く、また一発録りでコレかよ、ちゃんとしたレコーディングですげぇ聴きたいなと思わせてくれる良作だった。
とにかく、そんな彼等を、今一度、色んな面で勝負させてやりたいという思いは以前にもまして強くなった。私のような小さなレーベルの、何の力も持って無い男が言うのも本当におこがましいが、なんか彼らの助けになれないかなと。というか、私自身、このレーベルをこれから続けていくにあたり、レーベルのコンセプトはもちろん、このレーベルはこういう音こそを嗜好しているんだっていう、決定的に方向性を位置づけてくれるバンドを探していた。それもこの日本で。それが今のHIGH-SPEED-FLOWER RECORDSにとって必要な、決定的に昨今の流行的高速メロディックとは一線を画す、要素としてのメタリックさはあっても、決してメタルではない、パンクとしての価値観を持った近代高速メロディック・ハードコアというものを欲していて、その本来のレーベルの指針を体現してくれる、絶対に不可欠なバンドが必要なんだと。だからこそ、このSHAMESだったわけだ。

そして、以前から彼らと親交のあったZodiac RecordzのKatsu氏が仲介してくれて、彼らと具体的な話を進めていくことができた。
幸いにも彼等自身も、私のレーベルのこれまでの路線やサウンドというものを非常に気に入ってくれており、また、彼らと話を進めていくうちに、私のほうが圧倒的に歳はくってるにも関わらず、お互いに聴いているモノ、これまで聴いていたモノ、また気に入ってるモノといった、音楽的な骨子の部分が非常に近いと感じたし、なにより、最近の若い子とはできないような、幅広いパンクロックの話ができることが非常に嬉しかった。ここまで濃厚なパンクの話をしていているのは、彼らと、COCK SUCK RECORDSのゾリ井上氏とくらいである。
まあ、いい大人の男が電話で2時間も3時間も、パンクロックについて熱く語っちゃってるなんざ、傍目にはアホみたいなことこの上なしなのだろうが、だが、それがいい、と思って頂ける方にこそ必要な、クソみたいにある一定の攻撃範囲しか持たないが、そこをピンポイントで徹底的に破壊する威力を無駄に持っている音楽というものが、そもそもパンクロックであると思っている。
そうした、時に重要だったり、時に途轍もなく無駄だったりする話を重ねていくうちに、コンセンサスといったものは、これまでに無いほどに図れたのではないかと思う。彼らが本当に昔のモノから最近のモノまで、実に色んな音楽を聴いているのもよくわかったし、また、彼らがカッコ良さと同じくらい、大事にしてる、パンクの持つちょっとしたダサさや臭みだったり、そういったものが共感とともに理解するには十分な時間もお互いに持てたように思う。
ともあれ、それが絶妙であるかどうかはわからないが、HIGH-SPEED-FLOWER RECORDSというレーベルと、SHAMESというバンドのタイミングだけは、とてもバッチリと合ったわけだ。

そして、"NEVER TRUST"。彼らがSAMURIDER時代から10年の集大成と言えばいいだろうか、これまでの彼らのサウンドを、ひとつここで完璧な形でまとめてみようじゃないかといった意味合いも持ちつつ、エモーショナルでメロディアスで疾走感が溢れるといった、彼等の魅力が充分に理解いただける作品に仕上がっている。
初期のBODYJERの持っていたような、エモーショナルな疾走感の中に携えたポップ感覚、初期の割とシンプルな頃のSTRUNG OUTにも似た、メタリックな素養を孕みながらそれをパンクとして成立させていくという方法論、90年代のスウェーデンのメロディック・ハードコアを彷彿とさせるギミック満載のアンサンブル、近代のメロディック・ハードコアの持つストロングな部分、そういった海外の近代パンク・サウンドにインスパイアされたサウンドは、当然ように、そうした本格的な近代メロディック・ハードコア・ファンにお薦めなのはもちろん、それに加え、時折見せる、どちらかと言えば、メタルというよりはハードロックに近いといった泣きのフレーズ、どこか懐かしさすら覚える前代のパンクの香り、パンクのみならずポピュラーな洋楽感、そして日本独特の哀愁といった感覚などが様々に折衷され、バックボーンはもとより、その豊富な引き出しから繰り出されるアプローチの数々に、彼らの個性といったものが垣間見れるのではないかと思っている。

カッコいいリフでそのまま曲に突入することを善しとせず、いきなりパンク的ダサカッコ良さといったものを冒頭から突っ込んでくる"No regret"。そんなとこに実に彼らの個性を主張しているなと感じる、オープニングから爆発する高速メロディック。
続く"Wicked system"は未発表の最新曲。'90s Swedishフレーバーといった趣で外堀を固めつつも、エモーショナル哀愁な展開へ捻じ込んでいく疾走ナンバー。
1st.デモからのリテイク"My broken head"では、緩急織り交ぜながらメロディアス疾走。う~ん、グッとくるね。
"Left behind"も同様に最も得意とする感じである緩急メロディアス疾走。ここでも歌突入前とかになんかブッ込んできますよ。う~ん、これまたメロがグッとくるね。
"Get back the nasty trick"も新曲。爽快感すら誘いつつ、やっぱよろしく哀愁な展開でググッと盛り上げたりもする、アップテンポのエモーショナルなナンバー。
2nd.デモからのリテイク"Plan 'b"は、BODYJERを彷彿とさせる、流麗ミッド。
"Not make yourself"は、昔からの曲ながら、これまでの音源には未収録の、漢のストロング・ハードコア・チューン。80年代のストレートなハードコアのスタイルを持ちながら、そこはSHAMESらしく楽器隊のアンサンブルで、メロディアスさを補足。
でもって、"Take it easy"リテイク。思えば、この楽曲を視聴したのが彼らとの出会いだったぜという。ふと、その時思ったのが、どこに使い前があるのかとか考えると、その高速感とか個性に置き場に悩むんじゃないかとか。かといって鬼メロディアスだぜ。もう、そりゃあ、ムダにカッコよすぎるってことかとか。そんな楽曲は本人たちのアルバムでのみこそ輝く、そんな最高な高速メロディアス・チューン。
そして憂いを帯びたフレーズから滑走していく、"Believe & Get away"。間奏とか超好きだったりするのね。
続くの"Snaky line"は、メタ外装を施し、まさに滑走していくといった感じで、スリリング&ワイルドといった趣。これも面白い仕組みを持ってるなぁとか感じる曲だよね。
"Walk for a long time"、繊細な味わいすら覚える、甦れ、BODYJERなエモーショなるミッド。
そして、ストロング、ワイルド、メロディアスにブッ飛ばし、憂いながら締めるラスト・ナンバー"Sick of west"。

"No regret"や"Take it easy"のようにメロディック・ハードコア・ファンを一撃で仕留めるかのような疾走感溢れる楽曲も多い中、聴きこめば聴きこむほどに、方々に散りばめられたアイデアの中から、その個性的かつ独創的な魅力といった様々な発見ができるのが、このSHAMESというバンドなのではないかと思っている。
そこに近代に於けるメロディック・ハードコアの現在主流とされる進化の形とはまた別の魅力が見出せたなら、また、それがとても純度の高い、メロディック・パンクの進化の形の一つだと思っていただけたなら、最高なんじゃないかなと。

日本のバンドにとって重要なことの一つは忘れられないことなんじゃないかと思う。たとえば、どんな良いアルバムを出したって、それっきり何年も音沙汰なしで、ああ、そう言えばそんなバンドいたよねとかって言われたりするのは、とても悲しいことだと思う。
だからこそ、日本のバンドの多くが忘れていそうな、枯渇しないバイタリティーや、飽くなき欲求といったものは、とっても大事なんじゃないかなと思っている。また、それを満たすためには、豊富なアイデアとか、信頼できる仲間とか、軽いフットワークとか、常に必要になってくる。
ノリの悪い人間とはやりづらい。欲の無い人間とは気が合わない。明日のことを考えない人間とは話もしたくない。
私は今となっては作品を世に出すお手伝いをする立場なので、バンド本人たちのそれとは大きく違うとは思うのだが、いつも作品をリリースする度に、そのバンドの次の作品のことを考えたりする。そのバンドを忘れられないようするには、どうしたらいいんだろうとかって考えながら。
SHAMESというバンドは、ほぼ10年間、同じ方向を向いた奴等が、同じ価値観を共有しながら、その歩みは決してはやくなくても、歩き続けるのを辞めることなく進んできた奴等だ。こいつらは40になっても50になってもこのバンドをやり続けたいと言う。だから、このバンドが好きなんだと思う。自分も40過ぎて今だパンクがなんちゃらとか言ってるし、60過ぎてもパンクがなんちゃらとか言うてるクソジジィって素敵だなとか狂ったことを思ってるから。
そんなSHAMESは、豊富なアイデアと、信頼できる仲間と、軽いフットワークで、来年もコンピやスプリットを、もちろん全て新曲でやる予定です。当然、再来年あたりには2枚目をやるに決まってる。

2010.12.13. HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS Ku-ge

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