High-Speed-Flower
徹頭徹尾高速哀愁。HIGH-SPEED-FLOWER RECORDS レーベル情報、高速メロディックパンクを中心に、バンドや音源について書き連ねていきます。
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THE GITS -FRENCHING THE BULLY-
Frenching the BullyFrenching the Bully

The Gits


THE GITSは、'86年にオハイオで結成され、'89年にシアトルに移住し活動していたパンクバンドです。先に紹介した、シアトルの2バンドと比べると、そのサウンドやアティテュードといったものも、わかりやすくパンク的で、グランジが中心であった、シアトルのシーンの中でも、パンク/ハードコア色が最も強いバンドの一つでした。そのドライヴ感あふれるタイトな演奏と、これまた、表現力豊かで、魅力あふれる女性ボーカル、Mia Zapataの、ブルース調の味わいとも称される歌声、彼らの残した、"Frenching The Bully"も、'90年代の素晴らしいパンク・アルバムの一枚として、今も色褪せることはありません。とは言いつつも、本来なら、そんな素敵な一枚を喜んで取り上げて、語り尽くしたいところですが、どうにも気が重かったりするのは、Mia Zapataが忌わしい事件の被害者となり、既に亡くなっているという事実のせいかもしれません。

'92年にこの1st.アルバム、"Frenching The Bully"をリリース。かなり高い評価をプレスなどから得た、彼らは翌、'93年に2nd.アルバムのレコーディングに入るのですが、同年の7月にMia Zapataが、シアトルのストリートで強姦され、絞殺されてしまいます。ボーカリストを失ったバンドは、それでも'94年に2nd."Enter: The Conquering Chicken"をリリースしますが、実質的にバンド活動に終止符が打たれることになります。
長く未解決だった、Mia Zapataの殺害事件は、シアトルの多くのミュージシャンに衝撃とともに受け止められ、この事件がきっかけとなり、彼女のコミュニティーのミュージシャン、芸術家、作家、俳優などが、女性自身がレイプや家庭内暴力などから、自己防衛するための非営利組織団体、HOME ALIVEを発起し、また、NIRVANA、PEARL JAMといった有名ミュージシャンたちも参加した、彼女のトリビュート・アルバムをリリースし、その収益は、長く未解決になっていくことになる、この事件の捜査の継続の呼びかけと、その活動資金、またHOME ALIVEの団体の運営資金として活用されます。
また、THE GITSの残されたのメンバーも、その犯人逮捕の呼びかけや、その捜査のための私立探偵を雇う資金を集めるために、往年のベテラン女性シンガー、元RUNAWAYSのJorn Jettに協力を仰ぎ、彼女をボーカルに迎え、EVIL STIGというバンド名義で、'95年にアルバム"Evil Stig"をリリースし、そのアルバムの収益も、そういった活動のための資金として活用されました。
'96年には、彼らの'88年の音源"Kings & Queens"がリリースされ、また、'00年には、未発表音源や、LIVEテイク、レア音源を集めた、"Seafish Louisville"がリリースされています。また、1st.と2nd.も、'03年にリイシューされ、LIVE音源などのボーナストラックを追加した形で、再リリースされています。ジャケ画像はその再販盤のもので、オリジナルはジャケット・デザインが少し異なります。
皮肉にも、こういった事件によって、Mia Zapataの名とともに、THE GITSというバンドも、世間に広く知られることになり、そのサウンドは後世に残されていくわけですが、せめてもの救いは、彼らの存在を知らなかった人達まで、そのサウンドを知る機会が増え、そのサウンドに、多くのロック・ファンから、より以上の支持が与えられたということではないでしょうか。

この1st.アルバムは当時、よく足を運んでいた、地元の輸入盤屋さんの店長に、C/Zの新譜が珍しく入ったよと、薦められるままに購入したのですが、聴いてみると、C/Zの中では実にアタリだと感じたものでした。オリジナル・パンクのテイストを持った、カッコいいバンドといった印象で、ミッド・テンポと、オリジナル・パンクLikeなアップ・テンポが主体ですが、8、9、11曲目といった、アプローチとして、ハードコアのテイストが盛り込まれたものも含まれ、また、そのミドルや、アップのナンバーも、ゴキゴキくるベースに、タイトなドラム、音の作りを変えてくるリフを織り交ぜた、ギターのパンクなカッティングと、本当にオリジナル・パンクを思い起こさせる、アグレッシヴなナンバーが多く、また、ADAM & THE ANTSを彷彿させるかのような、インディアン・チックなアレンジも含んだ曲などもあり、そんな少し懐かしいテイストを持ちつつも、先鋭的なアレンジや展開もできるといった、本当に良いパンクバンドといった印象でした。また、その楽曲に花をそえる、Mia Zapataのパワフルで、少し粘り気のある歌唱も、実に魅力的で、このアルバムでは、評価されているブルース調のボーカルといった、実力派の歌唱とともに、パンク・ボーカルとしての、荒っぽさや、ワイルドさといったものも見られ、本当にこのバンドの、このサウンドに馴染むボーカリストであると思います。6曲目のような、本当にブルージーな曲調では、その実力をいかんなく発揮し、またワイルドなパンク・ナンバーでは、パワフルに、そしてアグレッシヴに、荒っぽく歌い上げます。その両方がミックスされたかのような、ラスト・ナンバー "Second Skin"は名曲です。
容易に入手できたこのアルバムとは、違い、次のアルバム、"Enter: The Conquering Chicken"は当時、どこを探しても見当たらず、どうにかこうにか、どこかの通販輸入盤店で見つけた、2nd.は何故か在庫がLPだったりして、仕方なくLPで持っていたりします。Mia Zapataの訃報と、その経緯を雑誌か何かで見かけるのは、その少し後だったように記憶しています。

Mia Zapata殺害の犯人は、2003年に、彼女の体に残った唾液のDNAから、当時フロリダに住んでいたキューバ人漁師と判明し、そして、翌年から始まった裁判で、その容疑者に有罪判決が下ったようです。そしてようやく事件は解決を見ることになりました。

THE GITS Official http://www.thegits.com/
THE GITS MySpace http://www.myspace.com/thegitsrule

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コメント
この記事へのコメント
こんな事件あったとは知らなかったです。

読んでいてかなり惨い気持ちのなりましたが最後に犯人が逮捕されたと書いてあるのを見て少し安心しました。

で聴いてみたのですがSecond Skinかなり良かったです。疾走感溢れるサウンドに力強くてややしゃがれ気味のボーカルに印象が残りました!
2008/06/26(木) 00:05:04 | URL | Nikola #bES7oKUM[ 編集]
詳しくは、どこかのサイトで見ましたが、裁判の経緯では、頭のおかしなヤツとかが、出てきたりして、
なんとも、いろいろと苦い感じです。2005年にはTHE GITSという映画も上映されています。
バンドとしては、ボーカル含め、私も非常に大好きなサウンドです。
2008/06/26(木) 06:35:45 | URL | Ku-ge #-[ 編集]
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